FXで注目の人民元円-中長期の見通しと予想

人民元は世界でももっとも安全な通貨の分類にはいる。
中長期的な資産保全という発想を持つべき。
人民元の見通しと予想をご紹介いたします。

巨額の貿易黒字で溜まる切り上げのエネルギー

世界一の人口と世界第2位の名目GDP(国内総生産)を誇る中国。これまで中国経済は安価な労働力をドライバーに世界の工場として、輸出主導の経済成長を遂げてきました。
しかし、巨額の貿易黒字が国際的な不均衡を生むことになり、2008年の金融危機以降は、内需主導型の経済へ舵を切りました。

2011年からスタートした「第12次5か年計画」では、新成長戦略として7分野の「戦略的新興産業」を掲げています。
いずれも従来の製造業とは一線を画すフロンティア事業といえるでしょう。 日米欧へのキャッチアップではなく、対等に競争して、新分野を切り開こうといった姿勢が読み取れます。さらにこの戦略的新興産業をテコに、強みを持った地域を内陸部に拡大し、さらなる都市化を進めたいという目論見もあります。では内需主導型経済への転換で為替はどう動くのでしょうか。

しばらくは現状の管理体制が続くと考えられ、安易な切り上げはしないと思います。とはいえ中国には、貿易黒字や海外直接投資による莫大な米ドルがあります。為替は需給のバランスで決まることを考えると、切り上げのエネルギーが溜まっていることは間違いありません。

香港オフショア市場は国際化に向けた実験場?

人民元切り上げエネルギーの出口として現状、機能しているのが、2010年に開設された香港オフショア市場です。ここでは人民元建ての預金や貿易決済、債券発行が行われています。実際に人民元で決済される本土とは別の金融市場が存在するのです。そのためレートや金利は、中国本土と香港とで異なります。
この香港オフショア市場とは、いうなれば、人民元の国際化に向けた壮大な「実験場」なのかもしれません。

国家による金融管理体制を温存したまま、オフショア市場を通じて国際化された市場を作るといった難しい試みに挑んでいるのです。この香港市場で取引されている人民元をオフシュア人民元(CNH)といいます。 最近、FX業者で、人民元円(CNH/JPY)の直接取引が開始されたことは、日本人や日本の企業にとっては非常に喜ばしいことだと思います。

人民元建ての金融商品も身近になるでしょう。ただし、人民元でのFXについては他の通貨とは見方を変えて行う必要があると思います。成長力に裏付けられた切り上げを期待しがちですが、管理体制が続くうちはそれほど劇的な上昇率は期待しにくいでしょう。

中国は海外からの干渉をできるだけ排除し、為替を安定させるつもりです。国家管理による安定性に着目すべきです。 人民元は世界で最も安全で安定した通貨であり、現状は中長期的な資産保全という発想がいいかもしれません。為替動向に振り回される日本企業は、コスト競争力を高めるため、中国へ生産拠点を移しています。個人投資家にとっても、人民元を用いたFX取引は大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

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