なぜFX投資は人気なのか?

投資マネーの最終的な逃避先、それが通貨

ユーロ圏の債務問題など、楽観できない経済状況が続いている。そんな中、通貨へ投資するFX取引(外国為替証拠金取引)に、日本の個人投資家の資金が集まるのはなぜか。

もし信用収縮の懸念が高まったとき、最初に売られるのは株式や不動産などの資産だろう。多くの場合、投資マネーの逃避先として選ばれるのは債券だが、さらに不安感が高まると、これも売られてしまう。その債券市場にあった資金が流れつく先が通貨。FX取引は、こうした流れの渦中にある。

FX取引とは、米ドル、ユーロ、豪ドルなどの外国通貨を用いた取引のこと。FX取引を行う会社に口座を開設して、一定以上の証拠金を預け、取引に参加する。証拠金はいわば担保で、これを元に取引原資を借り、証拠金の1~25倍までのお金を動かせるレバレッジを利用することで、投資効率を上げた為替の売買も行える。取引は「買い」からでも、「売り」からでもスタートできるのが、現物の株式や債券、投資信託にない特徴だ。

買いポジションでも、売りポジションでも、自分が予測した方向へ相場が動けば利益が、反対方向へ動けば損失が発生する。取引方法には、取引所を通じて売買を行う取引所取引と、投資家とFX取引を取り扱う会社とが1対1で取引する店頭取引がある。

FX取引はリスク回避に使えるツール

FX取引が人気を集める要因として、FXの魅力そのものも見逃せない。何よりも注目したいのは「機動性」だ。
リーマンショックや東日本大震災のときのように、世界を大きく揺るがす出来事が起きたときは、急激な相場変動に対処する必要がある。不動産のように売買に数カ月も時間を要するようなものは、突発的な事態に対応できない。
株式でさえ、市場がオープンしていなければ対応が後手に回ってしまう。
その点、眠ることのない外国為替市場を相手にするFX取引は、土・日などを除き24時間取引が可能だ。危機的状況が発生する頻度が上がっているこの時代に、FXは機動性という意味において安心感が高い投資手段と言えるだろう。

さらに、外貨預金とFXを比較した場合、どちらもペイオフの対象外ではあるが、FXの場合、FX取引会社が顧客から預かっている証拠金を全額、信託保全することが法律で定められている。金融機関等の破綻という万一のシナリオを考えた場合、FXのほうが自己資金をリスクにさらす確率は低いと言える。

戦略を持ち揺るがない自分を保つことがカギ

「FX取引はハイリスク・ハイリターンな投資なので怖い」という方がいるが、FXで投資を始める前に必ず戦略を立て、資金管理を怠らなければ、リスクを軽減することは可能だ。

これは決して難しいものではない。投資金額はいくらまでか、いくらでポジションを建てるか、レバレッジは何倍までに抑えるか、どれだけリターンが出たら清算(利益確定)するか、損失はどこまで許容できるのかといった条件を設定し、あらかじめその約束事にのっとって損益の計算をしてみること。

そして、相場が自分にとって不利な方向へ進んだときに、さらなる損失を防止する目的で、ポジションを清算して損失を確定させるストップロス(損切り注文)を必ず入れておくこと。自分で決めた方針と手順を守れば、無意味な損失拡大を防げるはずだ。このルールを、きちんといかに守っていくか、セルフコントロールできる心の強さがFX取引を成功させるカギといっても過言ではない。

またその前段階として、デモ取引で売買のやり方に慣れたり、相場の本質を見抜くための知識に磨きをかけたりすることも大切だろう。実際に、FX会社に口座を開設するときは、信頼性が高く、電話やメールでの質問、相談に丁寧に対応してくれる会社を選ぶなど、周辺環境まで含めて戦略的に考えたい。

「申告分離課税」の導入など投資環境も整う

折しも、この数年間でFX市場を取り巻く環境は大きく変わってきている。
たとえば、FX市場全体の健全性を高めるために、前述のとおり、FX会社に対して証拠金の信託保全を法律で義務付けたり、段階的にレバレッジ倍率に上限を設けたりして、規制が強化されてきた。

今年1月1日からは税制が改正され、取引所取引と店頭取引の税制が一本化された。これにより、今まで課税所得が大きくなるほど税率が高くなる「総合課税」が適用されていた店頭取引にも、取引所取引と同様に税率が一律20%の「申告分離課税」が認められるようになり、「取引所先物取引等との損益通算」「損失の3年間の繰り越し控除」も可能になった。

税制の垣根が消えたことで、※マーケットメイク方式という特徴を有する取引所取引を利用するか、取引画面やサービスなどに意匠を凝らした店頭取引を利用するか、FX会社の選択肢はかつてないほど広がっている。

このように投資環境が整備されていく今、金融・経済状況を俯瞰した上でのタイミングとしても、FX取引を始める時期に差し掛かっていると言えるだろう。

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