為替の変動要因

購買力平価

金本位制の崩壊を背景として、スウェーデンの経済学者カッセル(1866-1945)が唱えたのが「購買力平価」説で為替レートは、その通貨が持つ購買力により決定されるとします。

対比される二つの通貨(例えば円とドル)のそれぞれの自国での購買力が等しくなる水準に為替レートが決まるという考えです。
したがって米国で1ドルで買えるものと同じものが日本ではいくらで買えると言うその水準が為替レートを決めるとしています。

金利差

銀行間為替市場での金利取引されるうち輸出入といったいわゆる実需をベースした取引はあまり多くなく、圧倒的に多いのは国際的な資本移動に伴う取引です。

円やスイスフランのような低金利通貨を借り入れ、オージーのような高金利通貨に交換し国債などの資産で運用する取引を仕組んだりします。
このような取引は金額が大きく市場で行われると為替レートを一方的大きく動かします。

地政学的リスク

かつてマーケットには「有事のドル買い」という言葉があり、戦争や大きな国際紛争が起きると持っている通貨をとりあえず避難通貨として「持っていると強い力がある」ドルに取り替えておこうとする動きが見られました。

しかし、1990年の湾岸戦争や2001年の米同時多発テロを経験したマーケットでは、米国が国際紛争の当事者国として巻き込まれている場合にドル買いに直結するとは限らなくなりました。
日本の周辺国で何か国際社会に関わる大きな問題が起きた場合に円が売られるなど、どこかの地域に大きな問題が出てくるとその国の通貨や周辺国、そしてその国と強い関係を持っている国の通貨が売られたり買われたりします。

市場参加者の心理

「為替心理」説はフタリオン(1874-1956)が唱えた説です。為替レートは購買力平価や国際収支の動向では説明できず、取引の当事者や市場参加者の心理(期待や不安)によって動かされるという考え方です。
「どうもドルが上がりそうだ」と思う市場参加者が増えると、ドルが買われて市場全体の持ち高が「ドルの買い持ち」(ドル・ロング)となってきます。
しかしながらある程度ドルが上昇してくると今度は「一応ここらへんで売っておこう」と言う利食いのドル売りが市場の大勢を占め、ドルはあまり上昇しなくなってきます。

そして何かの理由でドルが売られ始めると、先程までドルを買っていた市場参加者に不安感が広がり今度は慌ててドル売りを出してくるので、ついには大半のディーラーがドルを買ったレベルを抜けて、今度は損失の出る領域に達してしまいます。
すると最後は損失覚悟のドル売り(ストップロス)が出て、ドルは更に下げ足を早めます。
そして大方のストップロスが出尽くし、多くの人が痛い思いをした所で市場は沈静化します。

テクニカル的要因

多くの参加者は長期、中期、短期の様々なチャートを見ながら、将来の通貨動向の予測しています。
このレベルを抜けると、ドルはどちらかの方向に加速するが、なかなかそのレベルは抜けそうもないというポイントと実際のレートを見比べながら売買を行います。

マーケット全体がドルの買い持ちに偏っていた場合、多くの市場参加者がストップロスをかけるのは、このレベルはドルがそれ以下には行きにくいという水準(サポート・ポイント)近辺です。
サポートのレベルを下に抜けるとストップロスを発動しなければならない市場参加者が、慌ててドルを売りますので、ドルの下げ足が余計に早まってしまいます。
逆にドルが上昇するときには、この辺でドルの上昇が止まるのではないかというチャート上から見たポイント(レジスタンス・ポイント)があり、そのレジスタンスを上に抜けるとドルの上昇に拍車がかかります。「輸出企業のドル売りオーダーが何百本もあるからドルの頭が重いだろう」と噂されていたのにも関わらず、そのレベルを大きく突き抜けてしまう事もあります。 また豪ドル、カナダドルなどの「資源国通貨」と呼ばれる資源が豊富な国の通貨は、原油や金などの価格と連動する事があります。

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